【令和8年度新設】「特定生産性向上設備投資促進税制」の概要

「特定生産性向上設備投資促進税制」は、令和8年度税制改正において、「強い経済」の実現に向けた危機管理投資や成長投資を強力に後押しするために創設される大胆な設備投資促進策です。

本制度の主な内容は以下の通りです。

1. 制度の目的と背景

わが国経済の好循環を実現するため、企業による大規模かつ高付加価値な投資を促進し、生産性向上による成果を賃上げにつなげることを目的としています。設備投資時のキャッシュフローを支援(課税の繰り延べ等)しつつ、投資後の収益拡大によって将来的な税収を確保することで、中長期的な財政健全化にも配慮した仕組みとなっています。

2. 対象設備と投資規模

青色申告書を提出する法人が、経済産業大臣の確認を受けた投資計画に基づき、国内の事業用として取得・製作・建設した設備が対象です。

  • 対象資産: 機械装置、工具、器具備品、建物、建物附属設備、構築物、およびソフトウェア。
  • 投資下限額(合計額): 全業種を対象とし、建物等を含めて合計35億円以上(中小企業者等の場合は5億円以上)という高い基準が設定されています。
  • 個別の規模要件: 資産ごとに以下の取得価額基準が設けられています(例:機械装置1台160万円以上、建物1,000万円以上など)。

3. 主な適用要件

経済産業大臣から「特定生産性向上設備等」としての確認を受けるには、以下の基準を満たす必要があります。

  • 投資利益率(ROI): 年平均の投資利益率が15%以上となる見込みであること。
  • 意思決定: 取締役会等の適切な機関による意思決定に基づいていること。
  • 投資の純増: 当該法人の設備投資を実質的に増加させるものであること。

4. 税制措置の内容

以下のいずれかの選択適用が可能です。

  • 特別償却(即時償却): 取得価額の全額(100%)を、事業の用に供した事業年度において償却できます。
  • 税額控除: 取得価額の7%(建物・構築物等は4%)を法人税額から控除できます。
    • 控除上限は当期の法人税額の20%です。ただし、予見し難い国際経済事情の急激な変化に対応する計画の認定を受けた場合などは、控除不足額の3年間の繰越しが可能です。

5. 適用除外と制限

  • 賃上げ・投資への消極姿勢に対する制限: 賃上げや国内設備投資に消極的な企業(大企業等)については、本制度の適用を制限する仕組みが設けられています。
  • 重複適用の禁止: 本制度の適用を受ける資産については、中小企業経営強化税制やカーボンニュートラルに向けた投資促進税制など、他の税額控除や特別償却制度との重複適用はできません。

6. 適用期間

産業競争力強化法の改正法施行日から、令和11年(2029年)3月31日までに経済産業大臣の確認を受けた設備投資が対象となります。

7. その他

いわゆる経営力向上計画における税制優遇適用要件とされる、計画の認定と設備の取得のタイミングについては、

上記の「取得等」とは、取得(その製作又は建設の後事業の用に供されたことのないものの取得に限る。以下同じ。)又は製作若しくは建設をいい、建物にあっては改修(増築、改築、修繕又は模様替をいう。)のための工事による取得又は建設を含む。

とのみ記載されているだけで、現時点では不明確です。2026年初頭に経済産業局によって公開される手引やQ&Aなどによって明らかにされるものと考えられます。